ニーズとは何か?ウォンツとの違いや、ニーズを正しく把握する方法を解説
新しいビジネスを作るにしろ、ビジネスを拡大していくにしろ、顧客のニーズに耳を傾け、満たしていく必要があります。では、そのニーズとは何でしょうか?この記事では、ニーズとは何か、そして顧客ニーズの把握方法を解説します。
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ニーズとは何か?
ニーズとは、私たち人間が生きていくために不可欠なもののことです。ニーズを満たすことで、生活の安定や健康、あるいは安全を得ることが出来ます。これをもう少し広げると、教育や医療、あるいは社会への帰属や自己実現も含まれます。このセクションでは、ニーズについてより詳細にはどのような定義づけがされているかを見ていきます。
マズローの欲求段階説
ニーズの定義で最も有名なものがアブラハム・マズローの「欲求段階説」です。彼の著書「人間の動機付け理論」の中で、人間の欲求を5つのレベルで分類しています。
- 生理的ニーズ:人間の生存に必要なニーズです。例えば、食べ物、飲み物、空気、衣類、睡眠などになります。(対象業界:飲料、食品など)
- 安全ニーズ:生理的ニーズが満たされていると、安全性のニーズが高まってきます。社会に秩序を求め、例えば警察や医療の機能を求めます。(対象業界:保険など)
- 社会的ニーズ:第3レベルは社会的ニーズになります。これは、社会との繋がり、グループや家族への帰属意識で、その一員であることによってニーズが満たされます。(対象業界:SNSなど)
- 承認ニーズ:第4レベルは承認ニーズは、自分に対する存在の自尊心または他社からの尊敬が含まれます。仕事や勉強などの習熟度の高さや、達成、またそれから得られる地位や名声によってニーズが満たされます。(対象業界:高級ブランドなど)
- 自己実現ニーズ:自己実現ニーズは、人が人生をかけて達成したいもの、人間の可能性に挑戦できるものを実行、体験することのニーズです。(対象業界:NGOや国際機関など)
マーケティングにおけるニーズの分類
マーケティングの観点では消費者ニーズは次の5つに分類されています。
- 明示的ニーズ:消費者自身または市場によって欲しいものを明確に指定しているニーズになります。例えば「スマートフォンが欲しい」などです。
- 現実的ニーズ:これは、明示的ニーズをより具体化したものであり、特定の機能や、ブランドを意味します。例えば、「Appleのスマートフォンでカメラは望遠機能付き」などです。
- 明文化されないニーズ:消費者がニーズを直接は言わないが、購入時に期待しているものです。例えば、保証やアフターサービスがそれにあたります。
- 想定外(喜び)のニーズ:このニーズは驚きや「すごい」といった要素を提供するニーズです。例えば、購入時に追加で商品を無料で提供することや、想定を超えたサービスがあたります。
- 秘密のニーズ:このニーズは基本的に消費者が表現できないが心の奥には感じているニーズです。
単純に「スマートフォンがほしい」というニーズだけではなく、他のニーズも満たすことができるプロダクト、サービスを設計することが重要になります。
ウォンツとは何か?ニーズとの違いは。
ウォンツは、あればよりよい人生を送れるであろう欲求になります。つまりニーズとは違い人間が生きていくために必要なものではありません。またウォンツは、時や場所、文化、社会によって変わるため一定ではありません。例えば、同じ食の分野でも、日本人は米を食べたいと思うでしょうし、アメリカ人であればハンバーガーを食べたいと思うかもしれません。
ニーズとウォンツを対比させると以下のようなものになります。
顧客ニーズにはどのようなものがあるか?
顧客の7つの基本ニーズ
このセクションでは、顧客の観点で基本とされる7つのニーズをご紹介します。
①機能性
特定の問題を解決するために必要な機能またはサービスのことです。
②利便性
新しい製品は使いやすく、簡単に問題が解決される仕組みになっていることが望まれます。
③価格
消費者の予算に収まっており、費用対効果が高い価格になっている必要があります。
④経験
製品やサービスを使うと楽しい経験、楽な経験をしてもらう必要があります。
⑤信頼性
消費者の期待通りに機能すること、予期しない故障やエラーが起きないこと。
⑥効率性
製品やサービスは既存のものより、よりシンプルで高速であることが求められます。
⑦デザイン
そのデザインはよりユニークで、直感的で、細部まで作りこまれているかが求められます。
すべてのニーズに応えることは難しいですが、どのニーズを際立たせるか、競合と比較してこのニーズは優っているか、などは検討項目にいれるとよいでしょう。
価値ピラミッド
Bain&Companyでは、顧客が感じる価値要素を30に分類して分析しています。マズローの欲求段階説を発展させたものになり、業界ごとに顧客が重要と感じる価値は何かを特定しています。
▼参考:30の顧客価値 | Harvard Business Review
顧客ニーズを把握・特定する方法は?
では、実際に顧客のニーズが何かを特定する方法とはどのようなものがあるでしょうか。ここで紹介する複数の手法を使い分けて把握していくことが現実的な進め方になります。
1.カスタマージャーニーマップを作成する
顧客が抱える課題は、どのようにして生まれ、現在はどの段階にいるのかを知る必要があります。カスタマージャーニーマップは顧客がどのようなステップで課題を生んでいるか、またどのようなに解決しているか(または解決できていないか)、その時の感情はどのようなものかを視覚的に表現する手法です。
2.フィールドリサーチをする
トヨタの現場主義に通じるところもありますが、課題が発生する現場に赴き観察することで、ニーズを捉える手法です。これはカスタマージャーニーマップを具体化する際にも利用されます。
3.ソーシャルメディアを活用する
現代はSNSが隆盛しており、みなさんも何かしらのメディアを利用されていると思います。特にBtoCに向きますが、実際のペルソナ像に近い消費者がどのような趣味嗜好にあるかを確認できますし、ツールを用いることによって、そのグループとしてどういった発言が多いかを調査することが出来ます。
4.キーワード調査する
主にGoogleトレンドやキーワードプランナーを使用することによって、直近のトレンドや、どのキーワードがどの程度検索されているかを調査することが出来ます。
5.顧客ニーズキャンバスを活用する
ニーズを検討・整理する手法の一つとして顧客ニーズキャンバスがあります。顧客インタビューから引き出したワードを顕在ニーズ、潜在ニーズ、コアニーズにマッピングし、対応するニーズの市場規模や顧客セグメントを整理していきます。
まとめ
今回はニーズとは何を意味するかから、その具体的な特定方法まで解説しました。手法だけでなく、Amazonのジェフベゾスが述べたように顧客を第一に置く姿勢を持つこともニーズを掴むために重要な要素となります。
今回の記事でよりよいサービスや製品が生まれれば幸いです。
参考文献とおすすめ記事
▼ 5 Stages in the Design Thinking Process |interaction design foundation
▼ Needs Meaning, Importance, Types & Example |MBASKOOL