データ分析とは何か?ビジネスにおける重要性、手法、プロセスを解説
データは「21世紀の石油」と言われています。しかし、データは持っているだけで価値を生み出すのでしょうか?石油と同様、そこから精製する工程を踏まないと実社会での活用は難しいでしょう。そこで、今回はデータの精製の部分にあたる「データ分析」について、ビジネスにおける重要性、手法やプロセス、利用するツールを解説していきます。
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データ分析とは?
データ分析は、データ収集、設計、分析、そして洞察を発見して、より効果的なビジネスの意思決定をすることを目的とした一連のプロセスのことです。
今日のビジネスの世界では、データ分析は、意思決定をより科学的にし、ビジネスをより効果的に運営するのに役立つ役割を果たしています。
なぜデータ分析はビジネスにおいて重要なのか?
上述の通り、データ分析はビジネスにおいて正しい・効果的な判断を行うために重要となります。このセクションでは主なデータ分析の利点を解説します。
A.正しい意思決定
ビジネスを推進するにあたり、直感だけではなく、事実に基づき意思決定をするためにデータ分析は役立ちます。例えば、経営戦略をたてる場合も選択と集中が必要であり、資本をどこに投資するか、どこが成長機会で新しい事業になり得るか、収益はどの程度になるか、といった問題をデータに基づき判断することで正しい・効果的な優先順位付けが可能になります。
B.顧客の理解
顧客は、全てのビジネスにおいて最も重要な要素です。顧客の属性情報(人口統計、趣味嗜好、購買行動)や、コミュニケーションチャネルなど、顧客の情報を取得し分析することで自社の顧客の理解が深まります。理解が深まると、顧客ニーズに沿った製品・サービスの開発、正しいコミュニケーションが可能になります。
C.運用コストの削減
生産やオペレーション、広告などのデータを用いることで、どこにコストがかかっているか、または効果が挙がっているかを分析できるため、改善箇所の特定が可能となります。また、データを基に売り上げや需要のシナリオを予測することで、生産や供給の最適化が出来ます。
データにはどんな種類がある?
データを大きく分けると、数値などで表現できる「定量データ」と、文章などで表現される「定性データ」に分かれます。分析の際は、それぞれのデータに応じた分析手法の選択が必要になります。
定量データ vs 定性データ
データ分析の種類は?
このセクションでは、代表的な分析手法である、記述的分析、診断分析、予測分析、処方的分析を紹介します。
①記述的分析
記述的分析は、「何が起こったか」についての質問に答える際に役立ちます。この分析はデータ分析の最も基本的で最も一般的な形式で、平均値、中央値、最頻値、パーセント、頻度、範囲など、既存のデータを計算することによって、記述し、要約し、パターンを特定します。統計的な数字の可視化が中心であり、その数字がなぜ、どのように起こったかという理由や原因を見つけることは難しいですが、業績報告やKPIダッシュボードなどの作成に非常に有効です。
②診断的分析
診断的分析は、「何かが起こった理由」を特定することを目的とする分析です。記述的分析により、ポジティブもしくはネガティブな事象が起こっていることが判明します。それに対して診断的分析を行って理由を突き止めることができます。例えば、5月にビール販売が増加したことを確認したら、診断分析を用いて、どのマーケティング活動が増加に最も貢献したかを検証します。
③予測分析
予測分析は、「将来何が起こるか」についての質問に答えるのに役立ちます。この手法では、過去の履歴データを用いて、傾向を特定し、将来も発生する可能性があるかどうかを判断します。例えば、年間の傾向として「特に暑い夏の売上はどうだったか?」、「今年の夏も同じように暑い気候になるか?」を分析します。
④処方的分析
処方的分析は、「何をすべきか」についての質問に答えるのに役立ちます。予測分析からの洞察を用いることにより、データ主導の意思決定を行うことができます。例えば、予測で高い確率で特に暑い夏になるのであれば、ビールの生産量を増やすためのオペレーションを組むことや、自社商品をweb上で告知するためのデジタルマーケティング予算を追加する計画を立てることが出来ます。
データ分析のプロセスとは?
データ分析の効果を最大化させるためには、正しいステップで行う必要があります。データ分析のプロセスは、以下の5つのステップで進めます。
・Step1.データ分析の目的整理
・Step2.データ取集
・Step3.データクレンジング
・Step4.データ解析
・Step5.データの可視化
・Step6.データの解釈
Step1.データ分析の目的整理
まずは、データ分析の行う目的を明確にします。この目的が定まっていない、もしくは曖昧なままであると、この後のステップを進めたとしても有効な結果は得られないでしょう。目的によって、集めるデータ、利用する分析手法が変わってくるため、目的の明確化から始めましょう。
Step2.データ取集
分析目的を達成するために必要なデータは何でしょう?例えば自社の優良顧客をデータ分析する場合は、顧客の属性や行動情報を収集します。まだ顧客情報がない場合は、web調査、インタビュー、アンケート、直接観察、およびフォーカスグループなどを行いデータを収集します。
Step3.データクレンジング
収集したデータのすべてが有用であるとは限らないので、クリーンアップを行う必要があります。このプロセスでは、空白、重複するレコード、基本的なエラーを削除します。データクレンジングは、データを分析する前に必ず行う必要があります。
Step4.データ分析
このステップでは、データを細かく分類・分析して、データから意味のある洞察を導出します。データ分析の手法と方法を使用して、現状の把握、また隠れたパターンと関係を探索し、洞察と予測を発見します。
Step5.データの可視化
データの可視化は、分析者、分析者以外の人に対してグラフィカルに情報を表現することにより、情報の理解や洞察の発見を進めます。可視化の方法は、チャート、グラフ、マップ、箇条書きなど、さまざまな方法を使用できます。
Step6.データの解釈
分析・可視化が完了したら、結果を解釈し、調査結果に基づいて対策や具体的な計画を考え出す必要があります。
データ分析の具体的な分析手法とは?
ビジネスでデータ分析をする場合に、よく利用される6つの分析手法を紹介します。
クラスター分析
クラスター分析は 、「相対的なグループに分類するための技術」です。例えば、消費財販売会社では、特定の場所で特定の商品を購入する人たちがどのような人々なのかを表現するために、クラスター分析を使用することがあります。
回帰分析
回帰分析とは、「変数間の関係を推定し、変数の変更が別の変数にどのように影響するかを判断するために使用する一連の統計処理手法」のことです。例えば、広告に投資すると、売り上げはどの程度変化するでしょうか?
モンテカルロシミュレーション
モンテカルロシミュレーションは、「乱数サンプリングを繰り返し実行することによって、ある範囲の結果が発生する可能性を算定する計算アルゴリズム」です。金融商品のリスク分析によく利用される手法です。
因子分析
因子分析は、「膨大なデータセットの中に潜む共通因子を探り出す統計手法」です。ビジネスシーンでは、消費者調査や顧客ロイヤリティの調査などに多く用いられます。
コホート分析
コーホート分析は、「データを共通の特徴を持つグループ(コーホート)に分割して分析する手法」です。この手法は、SaaSビジネスなどで顧客セグメントを理解するためによく使われます。
感情分析
感情分析は、「自然言語処理、テキスト解析などの技術を用いてデータに現れる人の感情を分析する手法」です。ほとんどの分析手法は測定可能・定量的なデータを分析しするのに対し、感情分析は定性データを用いて、人の感情やテーマを整理して解釈をします。ブランド、製品、サービスに対する顧客感情を理解するためによく利用されます。
時系列分析
時系列分析は、「時間と共に変化する時系列データを分析する統計手法」です。時系列データとは、特定の期間もしくは間隔が連続したデータを意味します。時系列分析は、例えば、毎週の販売数や株価など時間の経過に伴う傾向やサイクルを特定するために使用することができます。
データ分析のツールは?
ビジネスの現場で利用される分析ツールにはどのようなものがあるでしょうか。ここでは5つを紹介します。
- Microsoft Excel :マイクロソフトエクセルは、現在ビジネスの現場で利用される最も一般的な分析ツールです。定量的データの加工やフィルタリング、可視化が可能です。データ量が少なく簡易的な分析であれば、十分な機能が備わっていると言えるでしょう。
- Tableau :Tableauは、分析およびデータ可視化のプラットフォームです。多様なデータベースからデータを接続し、リアルタイムに更新されるダッシュボードを構築することができます。特にビジュアル化と共有に優れていると言えるでしょう。
- R :Rは、統計処理と可視化を得意とするソフトウェアプラットフォームです。統計処理を行うためのライブラリが充実しており、分析に集中する環境を提供してくれます。
- Python :Pythonはデータ分析の中でも機械学習に適したプログラミング言語です。
- DataRobot:DataRobotは、AIや機械学習の専門知識がなくとも、モデルを組むことができる機械学習プラットフォームです。
まとめ
データ分析は、ビジネスにおいて正しく、効果的に意思決定をするために重要なテクニックになります。
今回の記事が、勘と経験だけではなく、事実とデータに基づく経営判断を行う環境・組織作りの一助になれば幸いです。
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